人に出会う旅 ~うだつの上がる立ち呑みコミュニティ編~

『うだつが上がらない』物事が上手くいっていない人のことを表現したこの言葉の語源となった、日本家屋の屋根に付ける飾り柱『うだつ』。家の屋根にうだつが上がっていないイコール、仕事が上手くいっていない人、ということですが、逆に言うと、うだつとは成功者の象徴でもあるのです。そんな“うだつが上がった”日本家屋が建ち並ぶエリアが徳島県西部の美馬市脇町にあります。そこは『うだつの町並み』と呼ばれ、特にビジネスマンにとってはとても縁起の良い場所として知られています。
そのうだつの町並みの中に、不思議と人が集まる酒屋さんがあるのだとか。さて、そこではどんな出会いが待っているのでしょうか?行ってみましょう!

『うだつの町並み』で豪商パワーを浴びる!

やってきたのは美馬市脇町にある『うだつの町並み』。この町の歴史は江戸時代にまで遡ります。江戸時代中期から昭和初期にかけて阿波藍の集散地として栄えた場所であり、ここはたくさんの商人が行き交う通りでした。数百年が経った今でも、豪商と呼ばれた大商人の商家がいくつも残っています。

中でも最も築年数が古いのがこちらの建物です。建てられたのは今からなんと300年以上前、宝永4年(西暦1707年)のこと。その他、実際に中を見学できる商家もあり、当時の豪商たちの商売の様子や暮らしぶりに触れることができます。ビジネスマンにとってはこの『うだつの町並み』はまさにパワースポットと言えるでしょう。

うだつの上がる酒屋『正木酒店』

近年では商家を生かしたカフェやイタリアンレストランなども出店されている『うだつの町並み』ですが、今回やってきたのはこちら商家で営業されている酒屋さん『正木酒店』です。こちらも建物の歴史は相当に古く、西暦1800年の建築なんだとか。

暖簾も良い感じに古びていて、とってもノスタルジー。220年前、ここは呉服屋だったそうですが、今ではオリジナルボトルの日本酒『うだつのあがる酒』など土産物も買える酒屋さんとして人気のお店になっています。ですが、どうやら正木酒店はただお酒や土産物を販売しているだけの酒屋さんではないようで…。

人情溢れるうだつ呑みコミュニティ

こちらが正木酒店の店主の正木さん。御年82歳です。正木さんは『うだつの町並み』の生き字引のような人で、観光客がお店に行くと町の歴史のことをとても詳しく教えてくれます。そんな正木さんの人柄もあってか、正木酒店には不思議と人が集まってくるのです。

夕方になると決まって近所の人たちがやってきてお店はとっても賑やかに。みんなそれぞれ好きな飲み物を買って、店頭で立ち呑みしたり、奥にある椅子に座ってお酒とおしゃべりを楽しんでいます。常連さんが酒のつまみになる料理を持ち込んだり、また正木さんが手料理を振る舞ったりすることもあるのだとか。「いつもこんな感じ、これが普通よ」と正木さんは笑いますが、いやー、こんな酒屋さん見たことがありません(笑)。でも何か安心する感じというか、毎日ふらっと立ち寄りたくなる気持ち、よく分かります!そして常連さんだけではなく、ときには一見の観光客も混じって大宴会のようになることもあるのだとか。この“うだつ呑みコミュニティ”を目指して遠くからやってくる観光客もたくさんいるみたいです。

まさに『人情』という言葉がぴったりな酒屋・正木酒店。いつ誰が訪れても温かく迎えてくれるはずです。徳島県西部エリアを観光の際にはぜひ立ち寄ってみてください。きっと、うだつの上がる良い思い出ができるはずですよ。

データ

正木酒店
徳島県美馬市脇町大字脇町153-2
tel.0883-52-1552
営業時間 8:30〜19:00