1300年前から伝わる紙漉 阿波和紙にふれる
奈良時代に起源を持ち、徳島県の無形文化財や日本の伝統的工芸品に指定される阿波和紙。吉野川市にある「阿波和紙伝統産業会館」では、オリジナルの阿波和紙作りに挑戦したり、多彩な和紙グッズに出会うことができます。
まずは紙漉き体験に挑戦!
写真:ハガキ判・半紙判の紙漉き体験の様子
「阿波和紙伝統産業会館」は、奈良時代から約1300年続く阿波和紙の伝統を継承し、次代に向けた新たな和紙文化を発信している施設です。
こちらの施設の魅力はなんといっても、自分で紙漉き体験にチャレンジできること! 開館日に毎日実施されている紙漉き体験では、オリジナルの阿波和紙を作ることができます。
写真上:デザインを考えるのも楽しい。押し花などを持参して漉き込むのもOK。 写真左下:吹き抜けの作業スペースの一角で体験を行う。 写真右下:押し花などを持参すれば紙の中に漉き込むことも可能
紙漉き体験ではハガキ判なら3枚、半紙判なら2枚の和紙を作ります。経験豊富なスタッフが丁寧に教えてくれるので、子どもから大人まで初心者でも気軽に参加OK。
まずは簀桁(すけた)と呼ばれる木枠を使って、ベースとなる白無地を梳きます。続いてカラフルな色つきの原料で模様を描いて、自分好みにデザインしましょう。
色つけができたら、簀桁からゆっくりはがして乾燥機へ。完成品はその日のうちに持ち帰ることができるので、素敵な旅の思い出になります。
職人の作業風景やかわいい和紙グッズにも注目
写真上:伝統工芸士をはじめとする職人たちが、阿波和紙の伝統を支えている。写真左下:後染めを行う前の真っ白な和紙。素朴であたたかみのある風合いだ。写真右下:流し漉きなど和紙づくりの工程には、いずれも長年の経験と勘を要する
1階の作業スペースでは、現役の職人たちが和紙作りに励む姿を見学できます。楮(こうぞ)・三椏(みつまた)・雁皮(がんぴ)などの植物を主原料に、流し漉きや溜め漉きなどの工程を経て作られる和紙は、手触りや風合いもまさに一級品です。
写真左:クリエイターの作品制作を支援するアーティスト・イン・レジデンスの場としても活用されている。 写真右:2階の展示スペースでは阿波和紙や阿波藍などの作品展を随時開催
また、阿波和紙は新たな技術を積極的に取り入れており、デジタル印刷できる和紙やインテリアに使える和紙など、現代の用途に合わせた多彩な和紙を展開しています。近年では、世界的に有名な写真家グレゴリー・コルベールや、現代美術家の栗林隆などとのコラボレーションも話題に。2階の展示スペースでは多彩なクリエイターの作品を鑑賞することもできます。
写真上:手もみ和紙のブックカバー。雪花染やしま染めなど色柄豊富。 写真左下:人気の藍染め和紙シリーズ。和帳など。 写真右下:幅広い用途や色合いの和紙も販売
館内にはミュージアムショップも併設されています。店内には、阿波藍を使った藍染めの和紙や、雪の結晶や花のように見える雪花染めの和紙など、色とりどりの和紙がラインナップ。
さらには、ブックカバーや名刺入れなどのおしゃれな実用品、小物入れやコースターなど暮らしを彩るインテリアまで揃います。
ほかにも和紙で動物の張り子が作れるキットや、和紙製のトートバッグなど、取り扱っているアイテムは実に多彩。1300年の歴史を持ちながらも今なお進化し続ける阿波和紙から、これからも目が離せません。
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